事業等のリスク
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業等のリスクに該当しない事項についても、投資判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 親会社との関係について
① GMOインターネットグループにおける位置付け
当社グループは、親会社であるGMOインターネットグループ株式会社を中核とした企業グループ(以下GMOインターネットグループ)に属しており、同社は、2021年12月末日現在、当社発行済株式の51.8%を所有しております。GMOインターネットグループは、同社を中核として、「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチの下、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業、インキュベーション事業を行っております。
当社グループは、GMOインターネットグループのうち、インターネットインフラ事業に区分される電子認証・印鑑サービス及びクラウドインフラサービスを担う会社として位置付けられており、2001年5月にGMOインターネットグループに属して以来、当社グループの位置付けは基本的に変わっておりません。
なお、当社グループはクラウドインフラサービスの技術的中核を担っており、当社グループのクラウドインフラサービスは、独自のブランドで販売する他、GMOインターネットグループで行う他の主なホスティングサービスについても、当社グループからのOEM提供を行っております。しかしながら、同社の当社グループに対する基本方針等に変更が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② GMOインターネットグループとの取引について
当社グループのGMOインターネットグループ株式会社に対する連結ベースでの販売実績は、2020年12月期643,669千円 (総販売実績に対する割合は4.8%)、2021年12月期572,322千円(総販売実績に対する割合は4.1%)となっております。同社の事業戦略、経営方針、経営成績及び財政状態により、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はデータセンターを自社保有せず、複数のインターネットデータセンター(IDC)事業者からハウジングサービスとインターネット接続サービスの提供を受け、クラウドインフラサービスに供するサーバーを運用しております。データセンター利用料の合計額は2021年12月期において567,202千円に上っておりますが、その1.8%に当る10,272千円を同社に支払っております。
ハウジングサービスとは、インターネット回線設備の整った施設(いわゆるラックスペース)の提供を指します。インターネット接続サービスとは、IDC保有のネットワーク接続装置(バックボーンルーターから上位の接続装置)と当社の運用するL2スイッチ(※)とを結ぶことを指し、これにより当社保有のサーバーはインターネット上で利用できるようになります。
この二つのサービスはクラウドインフラ事業を運営するために必須のサービスであり、同社の事業戦略、経営方針の変更などの理由により同社の運営するデータセンターを利用できなくなった場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(※)L2(レイヤ2)スイッチとは、データリンク層(第2層=レイヤ2)のデータを解読し、パケットの行き先 を判断して、下位のサーバーや上位のバックボーンルーターに転送を行うネットワークの中継機器。
なお、当社グループの2021年12月期における同社グループとの資金移動を伴う取引内容については、[第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 関連当事者情報]に記載のとおりであります。
③ GMOインターネットグループ株式会社との役員の兼務関係について
当社の役員15名のうち、GMOインターネットグループ株式会社の役員を兼ねているものは4名であり、当社における役職、氏名及び同社における役職は次のとおりであります。
氏名 | 当社における役職 | GMOインターネット(株)における役職 |
熊谷 正寿 | 取締役会長(非常勤) | 代表取締役会長兼社長 グループ代表 |
中條 一郎 | 取締役副社長 | 取締役 |
安田 昌史 | 取締役(非常勤) | 取締役副社長 グループ代表補佐 グループ管理部門統括 |
伊藤 正 | 取締役(非常勤) | 専務取締役 グループインフラ部門統括兼事業本部長 |
当社取締役(非常勤)3名については、当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。
(2) 当社グループの事業内容に関するリスク
① 競合について
- ⅰ)電子認証・印鑑事業
- 当社グループが事業を展開する電子認証市場は成長市場でありますが、先行する上位会社にシェアが集中しております。当社グループは、電子認証事業に2003年5月に参入後、低価格・発行スピード等の差別化を図ることによりサーバ証明書に関してシェアの拡大を図っております。また、2006年10月に認証局を買収し、自社ブランドの販売を開始しております。しかしながら、今後の競争の激化により、当社グループ市場シェアが低下した場合や、価格競争により販売価格が下落した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年より電子印鑑事業に参入し、認証局を持つ強みを生かすことで、高いセキュリティや制価格等の差別化を図ることによりシェアの拡大を図っております。しかしながら、今後の競争の激化により、当社グループ市場シェアが低下した場合や、価格競争により販売価格が下落した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
- ⅱ)クラウドインフラ事業
- 当社グループが行うクラウドインフラサービスについては、大きな参入障壁がないため、多数の同業他社が存在しており、激しい競合の状況にあります。当社グループは、高品質なサービスをリーズナブルな価格で安定的に提供することで、多くの契約を獲得しております。しかしながら、今後の技術開発競争及び価格競争等により競争が更に激化した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 海外での事業活動について
当社グループは、日本のほか、北米、欧州、ロシア、アジアを含む世界各国において、各国の法律、規制等に従って、各種事業を展開しておりますが、輸出入に関する規制、関税等の租税に関する制度の制定又は改定、製造物責任に関する規制、その他予期しない法律の制定又は改定等が行われたり、集団訴訟の提起、多額の損害賠償命令、関連法令等に基づく勧告や手続の執行を受ける可能性があります。
また、戦争、テロリズム、紛争又はその他の要因による政治的混乱等の発生や、文化や慣習の違いから生ずる労務問題や疾病といった地政学的なリスクが、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替の変動について
当社グループは、営業取引の一部及び海外連結子会社への投融資等について、外貨建取引を行っており、為替の変動リスクをヘッジすることを目的として外貨運用を行っております。しかし、世界経済情勢の変動等により、為替が変動した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制について
当社グループは、会社法等の一般法令のほか、その事業に関し、主として以下の法的規制を受けております。今後インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象とする法令等が制定もしくは改定された場合、既存の法令等の適用が明確になった場合、または、何らかの自主的な業界ルールの制定が行われた場合には、当社グループの事業が制限される可能性があります。
- ⅰ)電気通信事業法について
- 同法は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする法律です。
当社は、同法に基づく届け出を行った電気通信事業者であり、検閲の禁止、通信の秘密の保護等について規 制を受けております。また、一定の事由に該当する場合、同法に基づいて、総務大臣から業務改善等の命令を受け、場合により罰則の適用を受ける可能性があります。かかる場合は、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 - ⅱ)特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律について
- 同法は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定める法律です。
当社は、特定電気通信役務提供者として同法の適用を受けており、送信防止措置や発信者情報の開示請求等に対しては、適切な判断となるよう慎重に対応をしております。しかし、訴訟等において当該対応が適切でなかったと認定された場合は、利用者もしくはその他の関係者、行政機関等から、行政指導、クレーム、損害賠償請求、勧告等を受ける可能性があり、かかる場合は当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 - ⅲ)特定商取引に関する法律について
- 同法は、特定商取引(訪問販売、通信販売等)を公正にし、購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。
当社グループは、同法により、特定商取引において事業者名の表示、不当な勧誘行為の禁止や虚偽、誇大な広告の規制等の行政規制を受けています。 - ⅳ)特定電子メールの送信の適正化等に関する法律について
- 同法は、一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ、特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることにより、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。
当社グループは、同法により、広告宣伝に関する電子メール(特定電子メール)内に送信者の連絡先等を記載する等の規制を受けています。 - ⅴ)個人情報の保護に関する法律について
- 同法は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることにかんがみ、個人情報の適正な取扱いに関し、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする法律です。
当社グループは、同法により、個人情報の利用目的の明示、取得の適正性の確保、安全管理措置の確保等の規制を受けています。また、当社グループは、同法のほか、電気通信事業者として、総務省が定める電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインを遵守することが求められています。 - ⅵ)青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律について
- 同法は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通している状況にかんがみ、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に必要な措置を講ずるとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及その他の青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置等を講ずることにより、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにして、青少年の権利の擁護に資することを目的とする法律です。
同法により、当社はクラウドインフラサービスにおいて、青少年有害情報の閲覧制限措置を講じる等の努力義務を負うことになります。なお、同法に基づく情報の閲覧制限においては、その適切性についての判断が困難な場合があり、この判断が適切でない場合は、利用者もしくはその他の関係者、行政機関等から、行政指導、クレーム、損害賠償請求、勧告等を受ける可能性があり、かかる場合は、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 - ⅶ)不当景品類及び不当表示防止法について
- 同法は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とするものです。
当社グループは、法令に適合したキャンペーン実施時の景品類の提供、ウェブサイト等におけるサービスの内容や価格等の適正な表示に努めております。
しかしながら、利用者や行政・司法機関等により景品類や表示が不適切であると判断される場合には、行政指導、課徴金の納付命令、クレーム、損害賠償請求等を受ける可能性があり、かかる場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 - ⅷ)製造物責任法について
- 同法は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害に生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものです。
当社グループが加工・販売する製造物について欠陥が理由で事故が生じた場合、同法により損害賠償責任を負う可能性があり、かかる場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟の可能性について
当社グループの事業を展開する上で、当社グループの責任の有無にかかわらず、第三者の権利・利益を侵害し た場合、損害賠償を求める訴訟等を提起される可能性があります。このような場合に備えて、当社グループの大 半のサービスについては、その利用約款に免責条項を設ける等の対策を講じておりますが、当社グループに対し て損害の賠償を求める訴訟等が提起された場合や補償問題等が発生した場合には、当社グループの事業及び経営 成績に影響を及ぼす可能性や当社グループの社会的信用を毀損する可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社グループは、自社考案の技術やビジネスモデルに関して、特許法等による保護を受ける必要があるものについては、随時出願を行っています。現在までのところ、当社において1件の特許登録(日本1件)の実績があり、GMOグローバルサイン株式会社において2件の特許登録(日本2件)の実績があります。
また、当社グループのサービス名称等のうち、商標法による保護を受ける必要があるものについても、随時商標登録出願を行っております。当社グループでは他社の知的財産権を侵害しているような事実はないものと認識しておりますが、当社グループの事業分野における他社の知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社グループが把握できていないところで他社保有の知的財産権との抵触が生じている可能性は否めません。また、当社グループの事業分野において新たに知的財産権を取得した第三者から損害賠償又は使用差止等の請求を受けた場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報管理と情報漏洩について
当社グループは、お客さまの個人情報を取得して利用するため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を負います。当社グループは、個人情報を取り扱う役職員を限定し、個人情報へのアクセスに当たってはパスワード管理を行い、アクセスした場合のログ管理を徹底する等、ソフト・ハードの両面から社内での厳格な情報管理を継続的に行う等個人情報の保護体制を構築しております。また、高度のセキュリティ技術の活用、業務マニュアル・ガイドラインを整備し、全社員を対象として社内教育を徹底する等個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。また、当社東京本社は、2006年11月に「ISO/IEC27001」、2018年10 月にはクラウドサービス専用の「ISO/IEC 27017」認証を取得しております。加えて、GMOグローバルサイン株式会社は、2019年10月に「ISO 27001(情報セキュリティマネジメント)」及び「ISO 22301(事業継続マネジメント)」の認証を取得しております。今後も体制の維持・向上に尽力する所存ですが、情報システムの停止、顧客情報・個人情報等の流出が万一発生した場合には、当社グループの信頼喪失及び当社グループの企業イメージの悪化や、当社グループに対する損害の賠償を求める訴訟等の提起及び補 償問題等の発生につながり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ システムトラブルについて
- ⅰ)電子認証・印鑑事業
- -システムトラブル
当社グループが提供する電子認証・印鑑サービスは、GMOグローバルサイン株式会社のシステムに依存しておりますが、システムに予期し得ない何らかの欠陥を有している可能性があります。当社グループは、継続的にシステムの検査・修正を行っておりますが、それが完全である保証はなく、サービスの誤作動・不具合等が生じた場合には、損害賠償の発生や当社グループの信頼喪失につながる可能性があります。また、当社グループが提供するで電子認証・印鑑サービスは、24時間365日年中無休で安定したサービスを提供する必要がありますが、通信ネットワークに依存しており、災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合、急激なアクセスの集中により当社グループ又はインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーが一時的に作動不能に陥った場合、コンピューターウィルスによる被害にあった場合等には、当社グループが提供するサービスに支障が生じ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、サービスの保証等については、認証局運用管理規程(Certification Practice Statement)・利用約款(Subscriber Agreement)により、運用責任範囲の規定、免責事項の規定等一定の制限を設けておりますが、そのような制限が裁判上または裁判外においてそのまま適用を認められ、または実際に利用できる保証はなく、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
-認証局の運用について
認証局システムの運用の一部については、複数の業者に委託しており、これらの受託業者との間の契約に基づき役務提供を受けております。当社グループは、受託業者と密接な連携と定期的な打合せを行いながら委託業務の管理監督を行っておりますが受託業者の事業方針変更等何らかの理由により受託業者との間の契約が期間満了前に解除その他の理由で終了した場合、同契約お維持に問題が生じた場合、役務提供のサービスレベル又は受託業者の技術水準に問題が生じた場合、受託業者の経営状況に問題が発生した場合、悪意の第三者からの妨害行為により認証局システムに問題が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
-認証局の秘密鍵の危殆化について
当社グループは、認証局のルートCA証明書の秘密鍵の管理を、ハードウェアセキュリティモジュール(※)を用いるなど、管理に不備が起きない厳格な基準の下に運用しております。しかしながら、当該ルートCA証明書の秘密鍵が何らかの理由により危殆化した場合は、グローバルサインブランドの証明書への信頼が損なわれ、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(※)ハードウェアセキュリティモジュールとは、電子署名や暗号化に使う秘密鍵をハードウェア内部で安全に生成・保管し、電子署名を行うことを可能にする耐タンパ性(物理的な攻撃があった場合、秘密鍵を自動消去するなど秘密鍵を取出し難くする性能)の装置です。 - ⅱ)クラウドインフラ事業
- 当社グループが提供するインフラサービスは、24時間365日年中無休で安定したサービスを提供する必要があり、特に当社グループは一部サービスについてサービス品質保証(SLA:Service Level Agreement)を導入しております。そのため、当社グループは日本国内の信頼の置けるデータセンターにサーバーを設置し、24時間のサーバー監視体制を整えております。しかしながら、当社グループのサービスは、通信ネットワークに依存しているため、災害や事故等による通信ネットワークの切断、急激なアクセス集中によるサーバーの一時的な作動不能、コンピューターウィルスによる被害、サーバー・ソフトウェアの不具合等、または人為的な過失による滅失・毀損による接続障害等が生じた場合には、当社のサーバーに接続することが出来ない事態が生じることがあります。これらのサーバー接続障害が当社の責めに帰すべき事由により発生した場合には、返金等の直接的な損害が生じる可能性がある他、当社グループが提供するサービスへの信頼喪失を招き、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 技術革新について
当社グループの属するインターネット業界は、ハードウェア、ソフトウェア両面において技術の進歩の速度と程度の変化は著しく、新技術、新サービスが常に生み出されております。当社グループは新技術の独自開発を行うとともにアライアンスパートナーと緊密な連携を保ち、サービスの開発、改良等を継続的に行っております。しかし、当社グループが想定しない新技術、新サービスの普及等により、当社グループが提供するサービスが陳腐化した場合には、競合他社に対する競争力が低下する可能性があります。また、新技術、新サービスに対応するために、費用の支出が必要になる場合があります。仮に、このような事態が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ リース契約について
DX事業の一部においては、エンドユーザーとの関係においてリース契約にて販売しておりますが、リース料率の引き上げやリース会社の与信審査の厳格化、リース取引に関する法令等の改廃や会計基準の変更等によりリース契約の成約率が低下した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 当社グループの事業体制に関するリスク
① 人材の確保、育成及び特定経営者への依存について
当社グループの事業拡大においては、日々進化する急速な技術革新への対応や、新規事業の開発への対応が不可欠であり、これらに対応する優秀な人材を適時に確保し、育成していくことが重要であると考えております。しかし、インターネット業界においては、当社グループの事業に必要な専門知識、技術、ビジネスキャリア等を有する人材に対する需要は高く、当社グループにおいて必要な人員拡充が計画どおり進まない、または想定以上のコストが生じる等の可能性があります。このような状況が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している役職員が、各グループの経営、業務執行について重要な役割を果たしており、当該役職員の継続勤務による経験値は、当社グループにおける重要なノウハウと考えられます。しかし、これら役職員が何らかの理由によって退任、退職し、後任者の採用が困難となった場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
② 事業の拡大に伴う経営管理体制の確立について
当社グループは、2021年12月末時点で、役員15名(監査等委員である取締役を除く取締役12名、監査等委員である取締役3名)、連結ベースでの従業員996名(臨時従業員を除く)と成長途上であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。当社グループでは、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も内部管理体制の一層の充実を図る予定ですが、従業員数の増加に対して、組織体制の構築が順調に進まなかった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新型コロナウイルス感染症について
① 事業活動
事業活動面においては、多くの国が都市封鎖や外出や移動、出入国の制限措置を実施する中、当社グループは2020年1月27日より感染状況に応じたリモートワークによる在宅勤務体制を導入しており、一部プロジェクトの進捗が遅延する可能性がございます。
(対応策)
当連結会計年度末現在において、生産性や効率面における特段の低下は見られておりませんが、当社グループ及びGMOインターネットグループでは、様々な有事に備えて日常的にBCP(事業継続計画)の構築に取り組み、社会状況を総合的に勘案し、①従業員の命を守り、②サービス、事業活動の継続のために、出社体制をレベル1-5に設定し、致命率や基本再生産数の動向・分析、感染者流入の動向・分析、ウイルス・細菌の特性等の情報に基 づく独自の判断基準により迅速に意思決定ができる体制を整え、本社オフィス等の拠点において感染症が発生した場合でも、その影響を最小化する体制を構築しております。また、在宅勤務が可能な環境も整備しており、出社時においては時差出勤の推奨、オフィスでのマスク着用の徹底、ウェブ会議やウェブ配信への切替等を実施しております。
② 業績
業績面においては、当社事業の多くが様々な業種業態へ提供しているインフラサービスを中心としていることに加え、日本政府による行政のデジタル化推進の流れや、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)進展により当社サービスの需要が拡大しておりますが、プロジェクトの遅延や、今後の景気全般の低迷により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(対応策)
当連結会計年度末現在においては、当社グループの業績に対する影響は軽微であり、財政状態への影響はございませんが、当社グループ全体での影響を最小化するべく、コロナ禍において、より需要が増大している電子印 鑑サービスやO2OサービスによるDX(デジタルトランスフォーメーション)支援等の事業拡大を図ってまいります。
(5) その他
① ストックオプション等の行使による株式の希薄化について
当社は、役員及び従業員の士気を高めると同時に人材を獲得するために、今後ストックオプションとして新株予約権
の付与を行う可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合には、新株式が発行され当社1株当たり
の株式価値は希薄化します。
② 企業買収・戦略的提携について
当社グループでは、今後も新サービス及び新規事業に取り組んでいく考えであり、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、企業買収(M&A)や資本提携を含む戦略的提携を積極的に活用していく方針です。
企業買収(M&A)や資本提携を含む戦略的提携にあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味しますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また企業買収(M&A)や戦略的提携後の組織・制度・営業・運用面での統合作業の遅れ、主要な人員の流出、想定されていた相乗効果を期待できないこと等の理由により、事業計画が当初計画通りに進捗しない場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 今後の事業展開について
当社グループは、電子認証・印鑑サービス及びクラウドインフラサービスを中心に、IoTサービス及び電子契約サービスなど新たな事業展開を積極的に行ってまいります。事業展開にあたり、設備投資・技術開発投資に加えて子会社及び関連会社の設立、新たな投融資、事業提携等が予定されます。この事業展開には人的資源・物的資源の投入、その他の支出増加が見込まれます。事業展開が予定通りに進まなかった場合には、時間とコストだけが費やされ収益確保にいたらない可能性があります。そのような場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。